独り言

種苗法の改正案、悪くなかった!?

2020.05.14

実はこの種苗法改正案の件、閣議決定されてから1ヶ月後くらいに知り、当時目立っていた声が
「コロナ騒ぎに便乗して通過させた!」とか
「日本の農業が海外の企業に乗っ取られてダメになる」
みたいな反対意見が非常に多く、賛成意見が全然見当たらなかったんですよね。

それで当初は反対意見を鵜呑みにして
「おいおい、日本大丈夫かい?」なんて思っていたんですが、ここ数日改めて調べてみたところ、、、

「あれ?もしかして悪い案じゃないんじゃない??」

に変わりました 笑
ということで、その理由なども含め書いておきたいともいます。

 

えー。
本題に入る前に申し上げますが、本件は「種子法」ではありません。「種苗法(しゅびょうほう)」です。
よくごっちゃにしてる人いますけど違います。

それと「家庭菜園」は本件に該当しません。

「自家消費を目的とする家庭菜園や趣味としての利用に影響はありません。」と農水省のHPにも記載があります。
これも勘違いしている人が非常に多いですので先に申し上げておきます。

そもそも種苗法ってなに?

野菜や果物、穀物は様々な「品種改良」が行われていますが、そういったことには費用も時間もかかるため、開発者側の知的財産権を守るために制定されたもの。(1998年5月29日公布)

開発者には開発した種子の独占権が与えられ、その種子を購入した人が販売や転売したりすることを禁止できる。

一方、農家さんは購入した種子の販売や転売は禁止されているが、育成して採取した種子を再利用すること(いわゆる自家採種)はOKとされている。

そうすることである程度、開発者と農家のバランスをとっていた。
というのがこれまでのもの。

そして

日本で開発されたブドウやイチゴなどの優良品種が海外に流出し、第三国に輸出・産地化される事例があります。また、農業者が増殖したサクランボ品種が無断でオーストラリアの農家に譲渡され、産地化された事例もあります。このようなことにより、国内で品種開発が滞ることも懸念されるので、より実効的に新品種を保護する法改正が必要と考えています。
出典:農林水産省>種苗法の一部を改正する法律案について

というのが今回の目的ということのようです。

賛成派と反対派の違いについて

まず初めに。
未だに、反対派の人がなんでこんなこと言ったんだろ?って思った箇所

「現在日本で栽培されている野菜の90%は登録品種」という部分。

つまり

登録品種=自家採種禁止 なので
→殆どの野菜が自家採種禁止になる!
→毎回、高額な種をモンサントのような海外企業から買わないとダメになる
→農家にとっての負担が大き過ぎる!

みたいなことが反対派の人の意見だったんです。
(だいぶザックリ書いてます)

が、改めて農水省のページを調べてみたら

「自家増殖は一律禁止になりません。
現在利用されているほとんどの品種は一般品種であり、今後も自由に自家増殖ができます。
 
「改正法案で、自家増殖に許諾が必要となるのは、国や県の試験場などが年月と費用をかけて開発し、登録された登録品種のみです。そのような登録品種でも許諾を受ければ自家増殖ができます。」

とありました。

「・・・え?・・言ってること全然違うじゃん・・・」

確かに、僕が初めから農水省のHP見れば済んだ話だったんですけど(苦笑)
それにしても真逆なんですよね。

自家採種禁止になる野菜が90%もある!!

というのに対し、農水省は

野菜であれば91%は一般品種なので種苗法が改正されても変わらない。
(つまり91%の野菜は自家採種可能)

といってます。。。

もう、この時点で終了〜!はい、解散!
じゃないですか 笑


↑農林水産省>種苗法の一部を改正する法律案について>主な登録品種と一般品種の例 より

まぁ、インスタのストーリー見てない人もいると思うので、もう少し分かりやすく書きますね。笑

種苗法の改正で何が変わるのか?

ザックリいうとこうです

●改正前●
指定された品目以外は、登録品種でも種苗の自家増殖が可能
●改正後●
原則すべての品目で登録品種の種苗の自家増殖禁止
出典:林ぶどう研究所>種苗法の改正について

これが全てではありませんが、どうもこの「自家増殖禁止」というワードが一人歩きしていったような気がしないでもないです。

上にも書きましたけど、「登録品種でも許諾を受ければ自家増殖可能」となってます。

僕の解釈が間違っていたら申し訳ないので、これを鵜呑みにして欲しくはありませんが、感覚的には「音楽」などの著作権に近いものがある気がします。

例えばお店のBGMとして音楽を使う場合など、著作権フリーでもない限り管理している団体にお金払いますよね?
そう考えたら分かりやすくないですか?

ここでいう作曲家とは「品種の育成者」とでもいいましょうか。

例えば
改正前は音楽の違法コピーとかやりたい放題だったけど、改正後は違法コピー禁止。
コピーしたいならちゃんと許諾とってね!みたいな。

品種の育成者にとっては必要な改正案

「林ぶどう研究所」の林慎悟さんて方がnoteにとても分かりやすく書いてくださっているので、それをみれば一目瞭然だと思います。(リンクは上記参照)

・新しい品種には多大な費用と労力がかかるが、現状だとそれを回収する仕組みがない
・育成者権を守りやすくするといった意味で今回の改正は非常に大きな意味を持つ

ということらしいです。

僕のような素人からすると「そんなに品種改良って必要なのかな?」って思っていたんですけど、上記の林さんは

現在ある地域において栽培しやすい品種が、10年後もそうであるとは考えにくい。

と仰ってます。

そう聞くと、現場で生まれる発想って大事なんだな。と感じました。

懸念される事案?

ここまでをみると反対派はそもそも言ってることが違うし、寧ろいい改正案じゃん!
と思うのですが、一方で反対派が懸念していた「モンサント社などから いつイチャモンつけられてもおかしくない状況になる」ということについては僕の中で答えが見つけられませんでした。

どういうことかというと…

固定種が登録品種と交雑すると訴訟されてしまうことになりかねない。
カナダであのモンサント社が、自社の遺伝子組み換え作物を「どこぞの農家が勝手に栽培している!」としてその農家を告訴。
告訴された農家は身に覚えがない。
調べてみると、モンサント社の作物の「花粉が風に乗り」その農家の作物と交雑していた。
防ぐことなど不可避な出来事なのにも関わらず敗訴。。。
このような事例が世界で500件以上もある。

というものです。

ただ、登録品種の数が少ないのでレアケースになりそうな気がしないでもないですけどね。

まとめ

農水省のHPだったり、上記でご紹介した林さんの記事などを拝見すると 反対する必要ってあるの?と思わざるを得ない結果となりました(少なくとも僕の中ではです)

反対派の意見は、一部分を切り取ってそこだけを「悪」としているような気がします。まんまとその意見にのってしまったわけですが。。。
「賛成・反対」両方の意見を調べてから発信しないとな。と改めて実感した次第です。

今回調べるにあたって上記に記載した他にも参照したリンクの一部を貼っておきますので、気になる方は是非ご覧ください。

<賛成派>
種苗法改正について、大いなる誤りを書く東京新聞(中日新聞)
<反対派>
食材の高騰、安全な食材の不足が加速 – 種苗法改正について

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